ども。さん太(@PonkotsuSanta)です。
前記事「【デザイナーでも残業なし】最速の仕事を目指すインプット&自己投資術」では、アイデアの源泉である「引き出しの数と深さ」を持つためのインプット術を書きました。
今回は主に、売上・業績に直結するデザイン・成果物をより早く的確に提案・実現するための「アウトプット術」に焦点を当てて書いていきます。
・同じような仕事が多くマンネリ化。スキルアップしたい
・より早く的確な提案・成果物を出し評価や業績をアップしたい
・役職が上がりディレクションやマネジメントが仕事の中心になった
デザインワークはゴルフに似ている?
デザインの仕事は「アートなセンスが問われる」ものと一般的には思われがちですが、実はかなり論理性が求められる泥臭い仕事です。
具体的にスポーツで例えれば、ゴルフに似ています。
穴(ホール)というゴールに向けて、クライアントから依頼される商品(サービス)というボールを運んでいくイメージですね。
ただ難しいのは、ゴールの位置がどこにあるのか最初は見えていないこと。
実際のゴルフはもゴールの位置が決まっていますが、デザインワークの場合はまずゴールの位置を正しく見極めることが必要です。
ゴールが見えていないと、いくらショットを連発しても一向にグリーンには近づきません。
ゴールの位置を正しく確認する仕事のコツは過去記事をどうぞ。
ゴールの位置が見えたら実制作に入るのですが、ここでもポイントが。
それは、ゴルフと同じくできるだけ少ない手数でホールインすること。
手数(修正回数)が増えれば、それだけ関係者の時間が奪われ(=間接的コストアップ)、商品(サービス)の生産・発売・リリースも遅れてチャンスロスになるからです。
場合によっては、競合に先を越されせっかく時間をかけて検討した苦労が水の泡になることも…。
正しい方向にボールを飛ばし、最短の手数でホールインすることを意識してデザインワークを進める必要があります。
モックアップ(試作品)を最速で出す
デザインはアートではない理由の一つに「時間的な制約」があります。
芸術作品であればいくらでも好きなだけ時間をかけ満足な作品を目指せますが、デザインは商業ベースなので時間(=お金)の制約がつきまといます。
デザインを早くゴールにもっていくためには「モックアップ(試作品)」を最速で出すことです。
実績を出しているベテランデザイナーほど、モックアップや半完成品を出すスピードとクオリティは高い傾向にあります。
繰り返しになりますが、デザインはアートではないので、デザイナーから見ていくらパーフェクトで満足のいくデザインを仕上げても、依頼者が満足しなければ、やり直しです。
100%のクオリティを目指すのに1ヶ月かかるのなら、まずは60〜70%でいいから1週間で試作品を見せてもらったほうが、スピーディに修正が進み、早くゴールに到達しやすいです。
プロジェクトの早い段階で試作品の提示があることで、依頼者側も完成イメージがしやすく、希望や修正箇所を依頼しやすいメリットがあります。
著名デザイナーの佐藤オオキ氏は、初回のミーティングで数十個のアイデアを提示した上で「実現可能」なアイデアだけを絞り込み、2回目のミーティングでは、3Dプリンタ等を駆使して「完成像に限りなく近い試作品」を持ち込んでプレゼンされるそうです。
このスピード感をぜひマネしたいものですね。
佐藤氏の「スピード仕事術」は他にも「インプットとアウトプットは別の日に分けて集中的にこなす」など膨大な仕事をスピーディにこなすテクニックが網羅されており参考になりました。
ただ注意すべきは、いくら早くても方向性のズレた提案はNGだということ。
カレーが食べたいと思っているお客さんに、ラーメンを何時間もかけて仕込んだところで意味がないということです。
捨て案をつくらない
デザイン提案をする際によく行われる手法としてあえて「捨て案」をつくる、というのがあります。
例えば、デザイナーが会心の出来だと思う「A案」をつくったとします。
しかし選ぶ側としては、比較対象がないとその提案が本当に優れているかどうか、その案を選んでも大丈夫かどうか不安になります。
そこで、決定を後押しする意味で、「A案」とは別に、やや手抜きだったり、尖りすぎて好みが分かれそうな「B案」「C案」と一緒に提案します。
結果、「A案」が選ばれるという、出来レース的なテクニックです。
それでも日常的に行われているため、ある種の「業界の慣習」ともいえます。
しかしこの習慣が、「悲劇」を生み出してしまうんですよね…
「捨て案」というのは、デザイナー側も本気でつくっていないので、完全な「時間のムダ」ですし、最悪「捨て案」が間違って選ばれても「いや…それ捨て案なんで、オススメできないです」とは言えません。
なので「捨て案」はつくらないことに越したことはないです。
これも、佐藤氏の仕事から参考にさせていただいているところですが、氏の場合、例えば5つある提案のうち「どの案がクライアントに選ばれても問題なく機能する」ことにこだわってデザインを作り込んでいるそうです。
つまり「捨て案は存在しない」ということですね。
こうしたこだわりをもって仕事するのはストイックできついことですが、こだわり抜いてつくった経験は確実にデザイナーの血肉になりますし、佐藤氏の場合は「ボツになった案」も時間と形を変えて、別の仕事で花開くことが多いそうです。
そういった意味では、全力を尽くしたボツ案はボツ案ではなくなる、と言えますね。
ミュージシャンと同じく、われわれデザイナーも全ての仕事に全力投球を心がけたいものです。
情報をプレゼントする
ふだんから様々な情報にアンテナを張っている方であれば、毎日色々な情報が手元に入ってくることと思います。
それをぜひ、自分のところで止めないで、別の「その情報を欲しがりそうな人」にプレゼントしてあげてください。
→雑貨好きな友人にお店の名前や場所を送ってあげる
・テレビを見ていたらキャンプの特集番組をやっていた
→アウトドア好きな友人に教えてあげる
・とてもタメになるビジネス書に出会った
→後輩や同僚に教えてあげる、SNSやブログで紹介する
他には、クライアントや競合の製品を実際に使ってみての感想・改善点を伝えたり、何でも話のネタになります。
情報をプレゼントしていると、一見自分だけが損をしているかのように思えますが、実はこんなメリットもあります。
・人に伝えることで記憶への定着率もアップする
・自分の興味の範囲外の情報にも目がいくようになる
・信用貯金が積み上がる→後々忘れたころに返ってくることが多い
情報をプレゼントする人になれば、見返りを求めていなくても、後から返ってくることが多いなと感じています。
人は本能的にもらいっぱなしでは悪いと感じ、何かの形でお返しをしたいと思うものだからです。
最近だと、ふと雑談で「今度旅行で大阪にいくんだ」と話をしたとき「串カツは●●が美味しいですよ!」「●●はぜひ行ってみてください」と思いがけない情報が返ってきました。
そうすると、こちらもまた別の形で「お返ししなきゃな」と思います。
マニュアル・フォーマット(型)をつくり共有する
デザイナーは職人的な仕事なので、自分の世界やこだわりをもつ方も多く、個人プレーをしてしまいがちです。
しかしフリーランスはともかく、組織で動く場合、個人の能力やスキルに依存する仕事は危険です。
・個人によって仕事の進め方や品質にバラツキが出る
・組織マネージメントに多くの労力(=コスト)がかかる
・病欠や出張等で担当者が外れた場合にメンバーがフォローできない
私が今勤めている会社に入って行ったことは、徹底的な合理化と「誰かが急に休んでも業務がストップしない体制づくり」でした。
なぜなら私の場合、持病ともいえるうつ病を抱えているし、そうでなくてもいつ働けなくなるかはわからない。そのうちまた転職するかもしれません。
そうなったとき「自分がいなくても組織や業務が回る」のが目指すべき本当の強いチームだと考えるからです。
・事務書類の書式を定型化(外注依頼書式、品質チェックシート等)
・業務フローのマニュアル化
・ルーティン的な作業はアプリ機能やプログラムで自動化
また、デザインに使用するグラフィックなどの商用素材は、一昔前に比べてかなり安価で種類豊富なうえ、クオリティも高くなっています。
1点ごとの単発で購入すると値が張りますが、法人契約を結べるサービスもあり、毎月一定数の利用があれば定額サービスがお得になります。
素材に頼れる部分は上手に活用し、デザイナー自身はより付加価値の高い仕事に時間をさくようにすると時間短縮・クオリティアップにつながります。
仕事のマニュアル化・フォーマット化にあたっては無印良品の仕組みをヒントにしました。
当時赤字だった無印良品を立て直し、MUJIの躍進の基礎をつくった松井忠三元会長の著書です。
原著もかなり丁寧で読みやすいですが、現在は図解本も出ていますね。
Webサイト(ブログ)・SNSを活用する
デザイナーの仕事の多くは、最終的に依頼者のものになります。
また大きなプロジェクトは分業しますので、自分の作品として公開は難しいケースが多いです(涙)。
ですので、余裕ができれば、会社の仕事以外に純粋な「自分のスキルアップ」を目的とした作品を作って公開したり、人脈やクラウドソーシングを使って個人名義の仕事を受注するのがおすすめです。
そして、権利的に問題のない作品はWebサイトやSNSにストックしましょう。
作品ストックができれば、その人のデザインスキルの目安となる「ポートフォリオ」として、転職やさらなる仕事受注にもプラスになります。
【まとめ】アウトプットがデザイナーの血肉になる
以上、デザイナーでも残業なしで働くためのアウトプット術を紹介しました。
最近はデザインソフトやハードウェアの進化、素材のクオリティアップによって、ますますデザインワークは効率化されています。
一方で、目の肥えたクライアントから求められるクオリティも上がってきています。
過去記事のインプット編で少し述べたように、知識やテクニックを覚えただけではうまく使いこなせるようにはなりません。
アウトプットを繰り返し試行錯誤することで、知識や技は自身の血肉となりオリジナリティを伴ってきます。
本ブログでは、今後もデザイナーの働き方や仕事にプラスになる記事を書いていきますので参考にしていただけたら幸いです。