ども。さん太(@PonkotsuSanta)です。
なので、あんまり自分で作業できてないんですよね…
グラフィックデザイナーは、渡された原稿(商品名、スペック、キャッチコピーなど)に沿ってグラフィック(広告やパッケージなど)を作ります。
そのため、本来はあまりネーミングやキャッチコピーを考えることはありません。
しかし、ディレクション(クライアントとデザイナーの間に立って、デザインの方向付けや舵取りをすること)をする立場だと違ってきます。
クライアントからいただいた原稿について「もっとこうした方が良いんじゃないですか?」という提案を投げかけるケースが多くなります。
商品サンプルやスペック情報をもらって「これは価値ある商品だな」と思っても、商品名が今ひとつイケてないことは本当によくあります。
今回は、商品やサービス、ブランドの顔として一番大事と言っても過言ではない「ネーミング」について、「良い例」「悪い例」を出しながら、具体的に分析していきます。
ネーミングのヒントも紹介しますので、自社商品やサービス、Webサイトやブログの名前付けで頭を悩ませている方は参考にしてみてください。
・商品やサービスのネーミングで悩むことが多い
・お客さんに覚えてもらえる唯一無二のネーミングを考えたい
・ネーミングで競合と差別化したい
印象に残る!覚えやすく「忘れられない」ネーミングには「法則」がある
商品やサービスの企画を考えたり、商品仕入(バイヤー)をやっている方などは、商品やサービスの「ネーミング(名付け)」を考えなければならない場面が頻繁に出てきます。
しかし、世の中にはすでに覚えやすく耳なじみの良い優秀な「ネーミング」があふれていて、それらと差別化するのは至難の業。
きっと、毎度頭を悩ませていることかと思います。
実は、「印象に残る」「覚えやすい」「一度聞いたら忘れられない」ネーミングをつけるには、いくつかの法則やコツがあります。
人間の本能や心理をうまく利用しているので、どれも効果バツグン。
この法則やコツを覚えておくことで、心に残る唯一無二のネーミングをつくることができます。
あえて「聞き慣れない響き」のネーミングにする
一般的に、ネーミングは聞き慣れたわかりやすい名称が良いとされています。
しかし、商品やブランド名など「看板」となるネーミングに関してはあえて変化球を狙うことも手です。
例えば、名刺交換をする時、相手方の苗字が珍しく聞き慣れないものだと、名前を覚えやすいってことはありませんか?
珍しい苗字だと「めずらしいお名前ですね〜!」「どちら出身ですか?」などと名前を中心に話題もふくらみやすいので、珍しい苗字はビジネスにおいてはちょっとお得だったりします。
なぜ、聞き慣れない名前は、覚えやすいのでしょうか?
それは「違和感」を感じるからです。
人間は本能的に「違和感」を感じるものを放っておけない習性があります。
例えば本を読んでいて、途中で聞き慣れない単語や固有名詞がでてくると止まってしまう、という経験が誰しもあると思います。
これは、脳内の辞書の中にこの単語がインプットされていないために起こっています。
「聞き慣れないネーミング」は検索してもらいやすくなります。そして、検索という「アクション」を起こしてもらうことで、より記憶に残りやすくなる効果も期待できます。
違和感を感じる=記憶にひっかかる「フック」になる、ということです。
この「フック」をもったネーミングは強いです。
例えば、今も根強い人気があるイギリスの小説「ハリー・ポッター」。
「ハリー・ポッター」シリーズの主人公はもちろんハリーくんですが、ネーミングに関して圧倒的なオーラをもっているのは実はヒロインの「ハーマイオニー」ではないでしょうか?
本国イギリスでも珍しく、発音が難しい名前のようですので、日本人にとってはもっと違和感(フック)の強いネーミングです。
これが功を奏して、彼女の存在感を唯一無二なものにしています。
試しに「ハーマイオニー」で検索すると、上位には「ハリー・ポッター」の「ハーマイオニー」しか出てきません。
フックの強い、変わったネーミングは競合も少なく「一人勝ち」の状況をつくれます。
もし、「ハーマイオニー」の名前が、イギリスで多いとされる「エミリー」とか「オリビア」とかだったら、おそらく多くのエミリーさん・オリビアさんの中に埋もれていたことでしょう。
もう一つ例を挙げます。
私がブログを始めた時、うまくいっているブログの名前を意識的に見ていました。
そうすると、頭ひとつ抜き出ているブログは、ブログ名に強いフックを持っていることがわかります。
聞き慣れないからこそ、記憶に残りやすい例です。
「マクリン」さんの場合は、「運営者名=そのままブログ名」という珍しいパターンです。
名前自体に「聞き慣れないカタカナ単語」というフックがあるので、短くても記憶に残りやすいのだと考えています。
語感・発音しやすさを重視する
日本で大成功しているファーストフードチェーンといえば「マクドナルド」。
日本マクドナルド創業者の藤田田(でん)さんが著書で明かしていたのですが、マクドナルドの発音は本来「マクダーナルズ」なのだそうです。
しかし日本人には発音しにくく、カナに直した時も見栄えが悪い。
そこで藤田さんは交渉の末、アメリカ本社の承認をとりつけ、日本では本来の発音ではない「マクドナルド」で通すことを決めたのです。
この戦略がヒットして「マクドナルド」は完全に日本に定着しました。
「短すぎる」or「長すぎる」ネーミングはNG
聞き慣れないフックのあるネーミングをつくるには、ある程度の文字数が必要です。
短いネーミングは呼びやすいのですが、「フック」が弱く、競合先とかぶりがち。
とはいえ、長過ぎるのもNGです。
例えば、本ブログの正式名称は【ポンコツさん太の「そろそろ本気で史上最高のクソゲー『人生』を攻略しようじゃないか」】です。
ですが、これだけ長いと覚えられないどころか、文字を見ながらでも噛まずに言えません。
たいへん悪い例ですので、良い子はマネしないようにしましょう。
意図があって長いネーミングにしたい場合は、同時に3〜4音で呼べる略称(または愛称・通称)をセットで考えておきます。
長いネーミングは呼びやすい「愛称(略称)」を用意しておく
「マクドナルド」は6音で少し長いですが、マクド/ナルドで3音/3音に分解できます。
そこから、関西ではマクド、その他地域ではマックという略称が定着しました。
実はこれも、創業者・藤田さんの戦略です。
短いネーミング(3〜4音)はすでに世の中に溢れていて、差別化が難しくパンチが弱いです。
人物やキャラクターの名前としてなら良いですが、登録商標にもかかりやすくブランド名にはしづらいです。
スターバックス→スタバ
ミスタードーナツ→ミスド
セブンイレブン→セブン
ちなみに本ブログ【ポンコツさん太の「そろそろ本気で史上最高のクソゲー『人生』を攻略しようじゃないか」】はどこを切り取っても、しっくりハマる略称ができないようになっています。
たいへん悪い例ですので、良い子はマn(ry
ポンコツさん太の「そろそろ本気で史上最高のクソゲー『人生』を攻略しようじゃないか」
↓
そろ人
↓
ソロジン
「漢字・カタカナ・ひらがな・アルファベット」を組み合わせてリズムをつくる
日本語の大きな特徴が「漢字・カタカナ・ひらがな・アルファベット」を全て使えるということです。
この4つを上手に組み合わせることで、字面から受ける印象を変えたり、リズムを生むことができます。
私たちは無意識のうちに、次のようなイメージを文字から読み取っています。
②カタカナ→文字に直線が多いのでシンプルでモダンなイメージ
③ひらがな→文字に曲線が多いので柔らかく優しいイメージ
④アルファベット→スタイリッシュなイメージ
※アルファベット表記は読めないリスクがあるので、ターゲット層を考慮し慎重に検討が必要
これらを組み合わせることで、複合的なイメージをネーミングに持たせることができます。
また、「漢字だけ」「カタカナだけ」の名前よりも、「漢字+カタカナ」「ひらがな+カタカナ」の方が、長いネーミングも読みやすく、覚えられやすくなります。
その他、記号「!」や「#」などをアクセントとして付け加えると、ユニークな名称ができるので、うまく取り入れると良いかもしれません。
・いきなり!ステーキ
・青山フラワーマーケット
・ヤマダ電機(山田電機だと堅すぎるイメージになる)
呼びやすいネーミングの特徴「七五三の法則」
こちらも先述の藤田田さんの著書にあったネーミングテクニックですが、日本語のネーミングでは、3音・5音・7音で読めるものがヒットしやすい傾向にあるのだそうです。
となりの/トトロ(4音+3音=7音)
東京/ディズニー/ランド(5音+5音+3音=13音)
長いネーミングになっても、「七五三の法則」に則れば、スラスラとリズムよく読めます。
例えばディズニーランドは千葉県にありますが、「千葉ディズニーランド」だとちょっと詰まるような読み方になります。
複数の単語を重ねる場合は、(2音+5音+3音)よりも(5音+5音+3音)の方が読みやすいように、音数の近いものを並べたほうがより読みやすくなります。
今回ご紹介した日本マクドナルド創業者・藤田田さんの本はこちら。
マクドナルドのネーミングに関する戦略は第二巻に収録されています。
【まとめ】ネーミングはブランド資産になる!だからこそ注意すべきこと
以上、印象に残りやすい、覚えやすくて忘れられないネーミングの法則とコツをご紹介しました。
今回は、主に商品やサービス、サイト名などの比較的字数が短く、ブランドイメージに直結するネーミングのテクニックについて書きました。
1点注意すべきなのは、ネーミングを使用する際、すでに類似の商品・サービス等で「登録商標」があると、商標をもっている先方からクレームがあがりトラブルになりやすいです。
そうしたリスクを事前に回避するために、特許庁に登録されている商標を検索できる「J-PlatPat」の検索を活用したり、弁理士さんに相談しましょう。
ユニークでフックのあるネーミングは強力なため、誰しも独占的に使いたいものです。
「いいネーミングができた!」と思っても焦らず、「他者の権利を侵害していないか」という点を頭に入れて慎重に使うようにしましょう。