ども。@30代・万年平社員のさん太(@PonkotsuSanta) です。
さっそくですが、私は管理職経験がありません。
マンガ「クレヨンしんちゃん」に出てくる、うだつが上がらないサラリーマン像の典型「野原ひろし」ですら係長。
私も子供の頃は、安月給とバカにされるひろしを「ダサい」と思っていたのですが、現実は厳しいですね…。
30代半ばとは思えない大人の男で、今ではリスペクトしています。
しかし、幸か不幸か時代は変わってしまいました。
「クレヨンしんちゃん」の漫画は1990年スタートですから、クレしんの世界観や価値観は、もう30年前の昔話になってしまっているということになります。
別に、負け惜しみでもなんでもなく「管理職を目指す」ということが、現代ではリターンよりリスクだけが大きい選択であると、今は自信を持って言えます。
私の勤務経験は、
②派遣社員時代(いろんな企業規模の会社を転々と)
③そこそこの大企業(正社員500人くらい)
ですが、どこの会社でも共通して感じたことがあります。
それは、
「管理職にはなりたくない」
ということです。
本記事では、日本の管理職がおちいりがちな「リスク」について客観的にまとめていきます。
・管理職のリスク、デメリットについて知りたい
・毎日大変そうな課長の姿を見て、管理職になることに疑問を持っている
・管理職がハマりがちな「悪循環」を知ってリスク回避したい
・管理職がつらくて辞めたいと思っている
※管理職というのは、どこからを指すのかといえば、会社によってまちまちですが、「直属の部下ができる」ことが一つのボーダーかと考えています。
未だに日本の悪しき慣習「名ばかり管理職」も絶滅していませんので…
管理職をおそう「3つのリスク」。社内で一番「損な役回り」?
なぜ私がここまで管理職になりたくないかというと、大きなデメリットが「3つ」あるからです。
- 年月が経つほどに身動きが取れなくなる
- 時間・機会損失のリスク
- 賃金が業務負担の度合いに見合わない
①年月が経つほどに身動きが取れなくなる
管理職としてキャリアを積めば積むほど、その人はその会社に「染まって」いきます。
その会社でしか通用しない慣例、スキル、仕事の進め方、人脈や社内政治…。
そうなると、かなりインパクトと再現性の高い実績を出さない限り、現状より待遇の良い会社にステップアップするのは難しくなります。
そうして気がついたら50代。
転職も難しく、会社が傾いていてもしがみつくしかない。…想像しただけでも身震いします。
(私は外資系企業の経験がありませんが、外資の場合はもう少し潰しの利く人材を目指せるのかもしれません)
それでも努力を続ければ、ゆくゆくは「社長」になれるのか?といえばそんなことはないです。当たり前ですが、社長のポストは1席しかないし、日本の場合はその1席すらも同族経営などで、自分に回ってくる可能性はほぼゼロというのが実情です(体感済み)。
この辺は、プロ経営者であり、元スターバックスCEOの岩田松雄さんが自身の社長経験で詳しく書かれています。「早く、社長になりなさい。」はこれからの働き方を考える上でとても参考になりました。
②時間・機会損失のリスク
人生で最も貴重なものは「時間」です。
これは誰にとっても同じかと思います。
しかし一度「管理職」になってしまえば、ざっと思いつくだけで、下記のような「ありがたい特典」が、自分の意志に反して「自動的」に降ってきます。
・経営層の「無理な大目標」を、自分の部・課の目標に落とし込まないといけない
・毎日行われる無駄会議に、あまり関係なくても出席する必要がある
・そこで謎に発言を求められたり、寝ていたりメール処理していると怒られる
・CC付けられることが激増し築かれる未読メールの山
・内定・入社式、社内交流会といった謎行事、冠婚葬祭にもマスト出席
・新年会・忘年会を始めとする価値のない謎イベント達にもマスト出席
・プライベートの飲みやゴルフにもしょっちゅう参加させられる
・部下の進退やお悩み相談にも乗らないといけない
・部下のマネジメントをしなければならないのに「人件費削減」で人手不足。「プレイングマネージャー」をしなければならない
・実務から離れ、自分の専門スキルを磨く時間と機会が減る
・謎の社内検定や管理職研修、資格を取るために勉強時間を捻出しなければならない
・会社携帯無料プレゼント(貸与)→休日・退社後でも容赦なく呼び出しがかかる
・ノートPCも無料プレゼント(貸与)。これで退勤後も休日も関係なく自宅で仕事できる。
・上記の理由から基本的に勤務時間は増え、残業が常習化する。しかし…
・「みなし残業」という謎制度に取り込まれ、昇進したのに謎に残業代が減る
…どれも欲しくない特典ですよね。特にメールのCC、会議やイベント出席マストなんて悪質です。場合によっては退職した元部下から結婚式の招待状なんかがくると…複雑です。
そんなプライベートまで会社に侵食されてしまうと、一体いつ自分のための勉強やスキルアップ、趣味を楽しめば良いのでしょうか?
③賃金が業務負担の度合いに見合わない
外資系なら話は別なのでしょうが、日本伝統の横並び的賃金では、仕事の責任と負担の激増具合に、賃金の伸びが見合っていない印象です。
それでも多くの管理職の皆さんが、忙しい合間を縫って部下を飲みに誘い、ご馳走している姿をみると、懐事情を察して泣けてしまいます。
気にせずジャンジャン飲んでくれよ!
(ああ、今月も懐がピンチだな…。嫁にお小遣いアップ頼まないと…)
その方が、部下や後輩としては何倍も励みになりますよ。
その他、日本の管理職を「割に合わない」ものにしている「4つの罠」については別記事で詳しく解説しています。
「管理職」リスクを回避するキャリアアップ戦略 3パターン
以上から、旧来の日本的経営の会社で「管理職」になることは、もはやリスクでしかありません。
かと言って単なる現状維持では、変化の早い現代ではすぐに自分の優位性を失い「人罪化」してしまいます。
そこで、今後取るべきキャリアアップ戦略を考えてみます。
①自分の専門性を磨き、代替できない実務担当になる。
「上」を目指さずに、専門職(職人)として生きていくキャリアプランです。
険しくなる頂上付近を避けて、比較的ラクな山の裾野を回るイメージですね。
専門知識やスキルがあれば、万一山が崩れても他の山を目指せます。
また、時間の余裕があるので、投資やプライベートに割く時間も取りやすいです。
気楽なメリットがある反面、当然収入には限界があります。
しかしもっと手の届く範囲を広げたくなってくるので、次の②③も選択肢に入れています。
②より好条件でチャレンジできる会社に転職する
元・スターバックスCEO岩田松雄さんのパターン。
今の会社で実績を上げ、それを売りに「別の好条件の会社」へステップアップしていくプランです。
今登っている山の先行きが怪しいと判断すれば、登る山を変えていくという事ですね。
途中では「管理職」を経験する必要がありますが、相応な報酬を得られる山を選んで登っていくので、一つの山を登り続けて管理職をやるよりは可能性があります。
転職を繰り返すので、相応のリスク許容力とフットワークの軽さ、他社で応用可能なマネジメントスキル、転職先で即実績を上げられる実力が求められます。
③起業していきなり社長になる
起業していきなり社長になれば、収入は青天井になります。
しかし最初から固定費の大きい起業はリスクが高いので、まずは小さく始めることが大切。
会社員をやりながら自分のビジネスの芽を育てる事もできますしね。私も無理なく空いた時間で仕事を取っています。
参考図書:しょぼい起業で生きていく
こんなゆるく起業していいんだ…というパラダイムシフトを起こした名著。起業はリスクが高いという固定観念を壊すために必読です。
【まとめ】管理職が救われないと日本はいよいよヤバくなる
「管理職」は家庭で言えば「お父さん・お母さん」や「お兄さん・お姉さん」的ポジションであり、その背中を見て若い人は育っていきます。
管理職が生き生きと働いていない会社に未来はありません。
しかし現実には、会社の無理な成長戦略のしわ寄せが管理職を直撃しています。
また、旧時代の制度や慣習がスキルアップや可能性を潰し、部下を丁寧に育てる機会を奪い、過度なストレスを押し付けていると感じます。
現在は人手不足により、優秀な人材の獲得競争は年々厳しくなってきています。
そのため、経営層は「管理職」の環境改善、負担軽減に本格的に取り組まないと、いよいよヤバい状況になっています。
・若手が昇格に希望を持てなくなり、入社5年までの間に離職する
・ロイヤルティの高いプロパー中堅社員も辞めていく→会社のノウハウが流出。コンセプトや強みを体現できくなる
・徐々に社内が空洞化していき、残るのは経営層と新入社員、付け焼刃的に採用された中途社員のみ
→会社の体質が弱くなり、内部からあっさりと崩れやすくなる
この連鎖が、日系企業が国際競争力を失って「元気がない」ことの原因の一つだと考えています。
以上、「会社で管理職を目指すことがもはやリスクでしかない現実について」でした。