ども。さん太(@PonkotsuSanta)です。
本業は広告やパッケージなど、グラフィック専門のデザイナーですが、ここ最近は割と残業なしで帰れています。
(繁忙期でも月30時間は超えない程度)
若い頃なら体力と根性でなんとかなりますが、そのままの仕事のやりかたを続けるといずれ身体を壊しますし、家族ができても一緒にごはんを食べることすらできません。
私もうつ病をきっかけに「仕事のやり方を変える」ことに気がついて、少しづつ生活に余裕が生まれました。
時間ができて生活にゆとりが生まれると、家族とのコミュニケーションも増えますし、自己投資や趣味にあてることもできます。
今回は、私が普段から心がけているコツをできる限りご紹介したいと思います。
・毎日あわただしく終電で帰ることが多い
・家族とすごすゆったりとした時間がほしい
・勉強やスキルアップ、趣味を楽しむ時間がほしい
【基本の心得8つ】
そもそもデザイナーが遅くまで帰れない理由は
基本的に依頼(仕事)を請ける立場だからです。
仕事を依頼する立場であれば、仕事を振ってしまえば自分は帰れますが、デザイナーは請け側のため、振られた仕事をこなすまで帰れません。
私も新卒で勤めた会社はブラックで、会社のソファで仮眠しながら朝まで仕事するようなスタイルでした。
この「依頼を請ける」立場はどこであっても変わらないため、仕事の負担を軽くするには「いかに早く最適解のデザインを出すか」が重要になってきます。
今回はまず、仕事の上で心がけたい心得的なものを紹介します。
全体像を把握する
これは、依頼側に非があることが多いのですが、いわゆる5W1Hのような、基本的な目的、計画や仕様が固まらないうちに「とりあえずデザイン案つくってよ」となるケースが多いです。
※5W1H(Who,When,Where,What,Why,How)
デザインは少なくとも以下のような仕様が定まらないと作りようがありません。
②いつ発売(リリース)されるのか?
③どこで売られたり展開されるのか?
④だれが使うものなのか?(ターゲット)
⑤デザインに求められる役割は何か?
⑥その商品(サービス)が競合に比べ優れている点は何か?
そのまま実制作を進めてしまうと、できあがったデザインは「何か思ってたのと違う」となり、膨大な手直しが必要になってしまいます。
結果、良いデザインもできず、リリースは遅れ、売れるものも売れなくなってしまいます。
日本人は特に「なあなあ」で済ませてしまう方が多く、依頼側の指示もあいまいになりがちです。
しかしここは、デザイナー側から上記の項目は最低限確認するようにしましょう。
最初の段階で全体像を把握できると、格段に手戻りが減り、わずかな修正で完成までもっていくことができるようになります。
対象の本質をつかむ
デザインを依頼される方の悩みは様々で、最初は漠然としたものが多いです。
・とりあえずお店のパンフレットやチラシを作ってほしい
・商品としての強みはあまりないのでデザインで付加価値をつけてほしい
しかし、これらの悩みの終着点はすべて「売上(利益)を上げたい」です。
これが本質になります。
ですので、依頼者が仮に「ホームページをカッコよくしたい」と思っていて、そのままカッコいいサイトを作っても、それが売上につながらなければ、本質ではありません。
依頼者の表面的なニーズだけでなく、丁寧にヒアリングを行って「本質的なニーズ」をつかみ、依頼者と共有できていなければ価値のあるデザインにはならないのです。
①現在の商品(サービス)が本来狙うべきターゲット層はどこか?
②商品(サービス)が本来狙うターゲット層に利用されているか?
③機会損失は発生していないか?(申込方法が限られるなど)
④競合がやっていて、まだ実施できていないポイントは何か?
⑤競合と差別化できるポイントはないか?
例えば、スマホから予約や申込みができないのであれば、ホームページの見栄えよりも先にネットから受注できるようにすべきです。
また、ターゲット層がずれている、あるいはやたら広い(20代〜60代の男女)場合も、そのままだと的確なデザインは提案できないため事前に適切なターゲットを設定したほうが良いでしょう。
「わかったつもり」に注意
顧客やチーム内での人間関係ができてくると、当初は丁寧に行っていたヒアリングがだんだん軽視されコミュニケーションが雑になりがちです。
すると本来共有しなければいけない情報が「これくらい言わなくても分かるだろう」「多分こういうことだろう」と暗黙の了解になってしまい、結果、デザインが本来目指すべきものとずれた形になり、余計な手間が発生します。
自動車教習所でも「人は飛び出してこないだろう」「対向車は来ないだろう」という「だろう運転」は危険だと教わりましたよね?ビジネスの現場でも同じことが言えます。
繰り返しですが、この6つの項目はチーム内で明確にした上で制作に取りかかることが重要です。
②いつ発売(リリース)されるのか?
③どこで売られたり展開されるのか?
④だれが使うものなのか?(ターゲット)
⑤デザインに求められる役割は何か?
⑥その商品(サービス)が競合に比べ優れている点は何か?
ほとんどの原因は事前のコミュニケーション不足なんですよね…。
信用貯金をつくる
コミュニケーションを密に取ることは重要だと言いましたが、何から何まで報連相していては、プロジェクトの進行は遅くなります。
ですので、普段から「あいつに任せれば大丈夫」という信用を貯めておくことで、コミュニケーションにかかる時間(=コスト)を下げておくことが業務を円滑化するコツです。
また信用があると、万一キャパオーバーで自分の力だけではどうにもならない時や、仕事を休まなくてはならない場面で人の手を借りやすくなるメリットもあります。
・納期を明確化し、前倒しの期日で納品する
・最速でデモ版(たたき台)を提案する
・顧客の期待を超える提案をする
・誤字脱字をチェックする
・情報やノウハウを提供する
・チームメンバーを率先して助ける
・挨拶、お礼、謝るべきところは謝る
客観視する
若い頃は、どうしてもデザイン=自分の作品だととらえて制作しがちですが、デザインはアート作品ではありません。
デザインはあくまで依頼者の課題を解決してはじめて価値をもつものなので、デザイナーは自分のエゴ的なものは一旦置いておいて、依頼者のもつ課題解決にフォーカスすべきです。
自分のデザインを客観的するコツをいくつか紹介します。
・そのデザインは顧客の課題(利益向上)を解決できるものかチェックする
・使っている写真、フォント、色などに対して論理的な説明ができる
・実際にそのデザインが使われているイメージをつくる
※商品パッケージであれば売場写真にはめ込んでみるなど
・モニタや紙面から離れて俯瞰してチェックする
・一晩置いて、翌日あらためてデザインチェックする
依頼者のチェックが甘いと、割と「カッコいいだけ」「お洒落なだけ」のデザインでも通ったりしますが、金額が大きくシビアな案件ほど通用しなくなります。
デザインはセンスが重要だと思われていますが、一流デザイナーは必ず「なぜこのデザインになったのか」客観的に説明できるよう論理武装しています。
合理的・論理的なデザインの組み立て方は、ユニクロやセブンイレブンのブランディングで有名な佐藤可士和氏の著書が参考になります。
自分だけのゴールデンタイムをつくる
何かを生み出す仕事は、頭をとても使うのでできれば「朝型」の生活スケジュールに切り替えることをおすすめします。
午前中は頭がもっとも冴えた状態ですから、夜がんばって働くより効率的に成果を出すことができます。
逆に効率の下がる昼以降は、事務的な作業や打ち合わせを入れると一日の時間を有効に使えます。
夜遅く疲れた頭では、ふだんしないようなミスも多くなり、余計な修正がかかるだけでなく信用を失いかねません。
またデザインの仕事は「落ち着いて仕事のできるまとまった時間(ゴールデンタイム)」をいかに確保するのかも重要です。
メールチェックはしない、電話も一時的にミュートにするなど、2〜3時間だけでも自分の「ゴールデンタイム」を用意しておくと難度の高い案件をこなしやすくなります。
まず着手する
並行して進めなければならない案件が多い場合、新しい案件は手付かずのまま放置しがちですが、後になって「早めに対処しておけば良かった」と公開することが今まで何度かありました。
後悔しないためには、まずはいったんフタを開けてみて、以下のことを確認します。
・スタッフや外注先など誰かに振れるものはないか
・十分な情報がそろっているか
・用意すべき素材や調査などはないか
一度フタを開けておけば、必要な情報や素材(写真やテキスト原稿など)がそろっているか把握できますし、もし不足があれば支給をお願いできます。
基本的に「自分の手元で止めている案件」はできる限りなくすことにしています。
また頭の片隅に案件のことが残るので
「今度の週末、買い物のついでに市場調査するか」
「役立ちそうな本を買っておくか」と、何かのついでに効率的なインプットもしやすくなります。
仕事の振り分け方については、佐藤オオキ氏の「スピード仕事術」がオススメです。
休むべき時は休む
「どうも最近疲れているな」、「いいアイデアが出ないな」と感じたら、休養が足りていないサインです。
デザイナーはどうしてもデスクワーク+頭脳労働の仕事スタイルになります。
また、良くも悪くも成果物で判断される職種ですので、意識的に脳を休ませる休養をとらないとどこかで行き詰まります。
そんな時、映画や漫画を見たり、ストレス発散も良いですが、個人的にはまず「睡眠の質」を見直すのがオススメです。
【まとめ】今のやり方を変えないと未来は変わらない
以上、デザイナーでも残業なしで働くための仕事のコツを紹介しました。
私自身も、長時間労働や数多くの苦い失敗経験から学び「いかに早く最適解のデザインを仕上げるか」工夫して、今があります。
これはデザイナー、デザイン業界に限ったことではないかもしれませんが、職人気質なところがいまだに多く、個人のスキルアップや仕事のやり方は「先輩を見て覚えろ」という暗黙のルールがあります。私も今まで誰かに手取り足取り教わったことはありません。
中でも、デザインの知識やソフトの使い方、テクニックなどは技術書やWeb講座などである程度学べますが、「本質的な」仕事のとらえ方・進め方は、腕がよく面倒見のいい先輩に恵まれないと教わるチャンスはないと思います。
このノウハウの共有の少なさが、結局のところデザイナーの労働環境が良くならない原因の一つでもあります。
しかし、今のやり方を変えないと未来は良くなりません。
本ブログでは、今後もデザイナーの働き方や仕事にプラスになる記事を書いていきますので参考にしていただけたら幸いです。