ども。プロのFP(※)やってます、さん太(@PonkotsuSanta) です。
(※腹筋割れてないポンコツの略。筋トレが続かないことに定評があります)
親を捨てる
なんて、
ずいぶんセンセーショナルなタイトルが踊っているわけなんですけれども。
世間では、ワンオペ育児など子育て問題の話題が連日取り上げられています。
これはこれで人生で重要なテーマだと思うのですが、多くの人にとって他人ごとではないもう一つの大問題があります。
それが「老いた親をどうするか?」問題。
・親が働けなくなって援助を求めてきた。対応する義務があるのか悩んでいる。
・実家への仕送りが正直きつい、仕送りをやめたい。
・貯金がない実家の両親、定年後は大丈夫なのだろうか?
・両親の将来が不安で今からなんとかしたい。
・親を捨てる勇気を持ちたいが、罪悪感を感じてしまう。
・将来、介護離職で仕事を失いたくない。退職したくない。
・お金を要求してくる毒親。正直、縁を切って捨てたい…
自分の生活や仕事、子育てに老後不安もある中、両親の援助をするのは、多くの方にとって困難なのではないでしょうか?
結論を先に書きますと「親に仕送りなどの援助をする義務はないし、できるかぎり援助しないのがベスト」です。
その理由と、私の手痛い失敗から学んだ教訓、将来の不安とリスクを軽くする方法を書いていきます。
親が「素晴らしい人」なら何も問題ないが…
私は現在30歳を越えたところですが、皆さんのご両親はお元気でしょうか?
30代の方でも、ご両親が若い方だとまだ50代。
お父さんは現役バリバリで働かれて、お母さんも子育て完了してパートタイムなどで働かれている方が多いと思います。
ご両親が働かれている場合は、蓄えもあるし、きっと手堅い家計管理をされているのだと思います。
「わしらの面倒は気にせずに、自分たちと子供の幸せを考えなさい」
なんて言葉がでてくる、素晴らしいお父様、お母様をお持ちの方は幸せだと思います。
しかし、世の中にはそんなご両親ばかりではありません。
②母→専業主婦歴30年強。祖母の介護と家事があり働く気はない。
③祖母→認知症で寝たきり。
④妹2人→実家暮らし。2人とも働いている。
収入のない両親に代わって、妹たちが家計を助け、私も毎月少なくない金額を仕送りするという具合です。
しかし仕送りが3年間、合計120万円以上になっても、事態は好転せず家計は赤字のまま。
「このままではダメだ」と思い立ち、抜本的な解決に動き始めました。
【合計120万円以上】3年間仕送りを続けた「失敗」から学んだこと
両親への仕送り金額は「毎月3万円」。
一人暮らしをしたことのある方ならわかると思いますが、何かとお金のかかる一人暮らしで「月3万円」を捻出して仕送りを続けるのはかなり大変です。
それを3年超続けたので合計120万円以上になりました。
「結婚資金」が丸々消えてしまったことになります……。
3年以上仕送りを続けた「手痛い失敗」から、私は次の3つのことを学びました。
- お金に苦労するのは親の「金銭感覚」の問題
- 労働なく手に入れたお金は「ありがたみ」がない
- できる範囲で仕事してもらい「自立・自活」してもらう
毎月「仕送り」で労せず手に入るお金は、「つらい仕事の対価」という意識がないので、蛇口から出る水のようにどんどん使ってしまいます。
加えて、金銭感覚がズレているので「収入の範囲で生活する」という基本すらできていない場合もあります。
仕送りをやめて自立してもらいたいなら「親の家計を見直す」「仕事を始めてもらう」をセットで改善する必要があるのです。
ひょっとして毒親?こんなタイプには要注意!
自分を育ててくれた親に対しては、人は誰しも冷静な対処ができないもの。
でも、次のような危険信号を見逃していると、後から問題が大きくなってしまいます。
・親の貯金や金融資産がほとんどない
・帰省のたびにお金を貸してほしいと言われる
・少額だが、毎月実家に仕送りしている
・やたら親からの電話やメールが多い(過干渉)
・老後は自分たち兄弟に面倒を見てもらう気満々でいる
・まだ働ける年齢なのに働こうとしない
・自分が一人っ子である(兄弟で負担を分担しにくい)
・訪問販売やセールスに引っかかりやすい
・「親孝行しろ」が口癖で恩着せがましい
以上のうち、一つでも当てはまったら要注意。
将来、自分やパートナー、お子さんの大きな負担にならないように早急な対処が必要です。
親御さんの自活のために、今からできる対処方法を具体的な3ステップで解説します。
【親に仕送りを求められたら?】本質的な解決を目指す3ステップ
ご両親に収入が少ない場合は「今月だけちょっとお金貸して」などと援助を求められる場合があると思います。
しかし、こうした相談を受けた場合は立ち止まって、冷静に考える必要があります。
①【鉄則】仕送りなど「経済面」の援助はしない
たとえ親であっても軽々しくお金は渡さないのが鉄則です。
親子の情とお金の問題は、冷静に切り分けて扱いましょう。
なぜなら、少し厳しい言い方になりますが、
お金に困っている=金銭感覚(金融リテラシー)がない証拠です。
金銭感覚のない人は、お金があればあるだけ使ってしまいます。
まして、あなたがお金を出す場合、もらう親の側は労働の痛みを伴いませんから、より簡単に使ってしまうでしょう。
最初はありがたがられても、今後頻度や金額がエスカレートする可能性もあります。
間違っても、便利な「親のATM」になってはいけません。
また、援助や仕送りが継続化すると、親の労働意欲を削ぐ原因にもなります。
そうなると、早くに働けなくなり、働くことで得られる刺激や運動量がなくなるので、さらに老いが進行してしまうことも…。
結局、本人たちのためにならないので、親に金銭援助は極力するべきではない、と私は考えています。
②親の家計(収支)をまず見直そう
金銭援助をする代わりに、親に金銭感覚がない場合は、家計を見てあげます。
親世代はインターネットに疎い方も多く、昔の古い契約で、本来不要な固定費を払い続けているケースがあります。
(例:保険、自動車、インターネット、携帯電話等)
不要な費用を払っている場合は解約するか、格安プランに乗り換えを検討しましょう。
親との関係が希薄な場合、始めは嫌な顔をされるかもしれません。
しかし、地道に電話やメールで親との接点を増やし、信頼関係を構築するところから始めるのがおすすめです。
実家が離れていて、なかなか立ち寄れない場合は、帰省等のタイミングでしか会わないといった場合もあると思います。
この時、日頃から電話などで会話しておけば、家計の見直しが一気にはかどります。
※加えて、親の資産も把握しておくと今後のために役立ちます。
▼毎月の家計を黒字にする管理方法はこちらの記事で書いています。
【家計の黒字化】毎月の黒字経営を実現する方法【基本8原則】
私の場合も、以上の流れで実家の家計再建を行いました。
極力、援助をしなくても自力で生活できるようにしてあげるのがポイントです。
③自活のため簡単な仕事をしてもらう
人間、働いてないと生き甲斐や会話がなくなり、頭や体も急速に衰えてしまいます(特に男性の場合)
「実家の家計が苦しい」「親の定年が近づいているが貯金が少ない」など、問題が明るみに出たら、なるべく早く動いておいたほうが良いです。
臭いものにフタをすると、後々問題が大きくなって後悔することになりますので…。
放置しても親の意識や行動が変わらないと事態は好転しません。
時間が経てば、もっと働きにくくなるので、問題はさらに深刻化します。
さらに具体的な「自衛手段」については別記事に書いています。
「親を捨てる勇気」について考える参考図書
「老いた親をどうするか」問題は、これから避けて通れない重要な問題であるにも関わらず、前向きな議論や参考書は多くありません。
そんな中、私が読んで参考になった本を紹介します。
仕送りや介護など、親が負担になって経済的精神的に追い詰められる前に読んでおきたい一冊です。
一見過激なタイトルですが、綺麗ごとでは済まされない現実が豊富な実例を元に書かれています。
世界の先進国の事例と比較して日本の高齢化社会への取り組みが未成熟であるかも痛感する内容です。
「将来性のある」あなたや子供たちの人生が一番大切
極力、親には援助せず自活してもらうというお話をしてきました。
こういう話をすると、人によっては
「今まで育ててもらった恩があるし、援助しないのは親不孝なのではないか?」と
思われる方もいらっしゃると思います。
その気持ちがあるからこそ、私も毎月少なくない金額を仕送りしていたんですよね…。
ですが、冷静に考えてください。
まだまだ将来性のあるあなたや、あなたのお子さんにかけるお金を削って、
その可能性を潰してまで援助する必要性がどこにあるのでしょうか?
もし会社なら、「たいして働かず給料ばかりもらうシニア層」は、真っ先にリストラ対象になるはずです。
しかし、これが家庭の問題になると、親の面倒は子供が見るものという思想が(特に私のいる田舎では)未だに強いです。
これはおかしくないでしょうか。
お子さんのいる方であれば、将来自分が老いてしまったとき「子供の負担にはなりたくない」と考えるはず。
それが本来の親心だと思います。
ですので、早いうちに、精神的にも経済的にも、お互い親離れ・子離れしておいたほうが後々ストレスになりません。
お金がない親の面倒を子供がみる必要・義務はある?
民法には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。つまり法律上は「親の面倒は子がみるもの」といえます。
しかし、子供側の経済状況が苦しい場合でも、お金がない親の面倒を全面的に見なければいけない、ということではありません。
自分の生活だけで精いっぱい、余力がない、という場合には、「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」は認められません。自分の親や兄弟姉妹に対する扶養義務は、「自分の生活を犠牲にしてでもすべての面倒を見る義務」ではないのです。
「扶養義務」にも優先順位があり、夫婦や自分の子供の扶養が最優先されます。自分たちの生活が苦しいなら、親や兄弟の金銭的な援助は必要ないのです。
親に仕送り・援助する場合はまず「収入アップ」を目指す
両親に感謝しているし、面倒は見てあげたいけど「自分たちの生活もつらい」場合は無理をしないで、まずは「収入アップ」を目指しましょう。
今働いている会社で給料アップが期待できない場合は「転職」「副業」「投資」のいずれかを検討する必要があります。
幸い日本は人手不足。社会保障も整っているので、私のように無一文からでも数年で復活できます。
私が着実に資産形成している「がんばらない投資術」は以下の記事にまとめています。
仕送りの代わりに「ふるさと納税」の返礼品を実家に贈ろう
「ふるさと納税」は全国の地方自治体に寄付することで、その自治体の特産品などを「返礼品」として受け取れる制度です。
「ふるさと納税」を使えば、お米やお肉など毎日欠かせない食材費を「実質0円」にすることもできるので、活用しない手はありません。
「ふるさと納税」でいただける返礼品は、自宅に届くのが一般的ですが、実は送付先を自宅以外に設定することもできます。
方法は簡単で「ふるさと納税」の注文時に「返礼品の送付先住所」を送りたい人のいる住所にすればOK。
こうすることで、両親のいる実家や、別居する兄弟へのギフトとして「返礼品」を贈ることができるのです。
例えば、私の2020年のふるさと納税は、あらかじめ実家に希望を聞いた上で以下の返礼品を贈りました。
【ふるさと納税】モツ焼きこぶた<宮崎県産ブランド豚こま肉 3.2kg+タレセット> 400g×8パック 宮崎県 高鍋町
こちらの豚こま肉は、一回の料理で使いやすい400gが1パックずつ小分けになっていて保存しやすく好評でした。
また、父親は肉より魚が好きですが、魚介類は高価なので「なかなか食べられない」と嘆いていました。そこで贈ったのがこちら。
【ふるさと納税】甘口紅鮭5切×6P(計30切、約1.8kg) A-11004
ふるさと納税は税控除によって、普通に仕送りするより経済的な負担が軽いので「毎月の仕送りがしんどい」という方は、仕送りの代わりに試してみてください。
【まとめ】本当の「恩返し」について考える
親離れ・子離れを進めるとして、両親には育ててもらった「恩」というのがあるのも事実です。
では、どうやって「恩」を返すべきなのでしょうか?
私の考える一番の恩返しは、
あなたが生き生きと働いて自己実現することだったり、
あなたのお子さんが健やかに育つ姿を見せてあげる、
それだけで良いのではと考えています。
また、普段から「コミュニケーション」をとることも大事です。
何も記念日ごとに大きなプレゼントを贈る必要はありません。
遠方でなかなか帰省できないなら、定期的に電話して近況を連絡し合う、元気な声を聞かせるだけでも良いと思います。
将来後悔しないために、今から少しずつ準備を進めていきましょう。